塾長英単語チャレンジも9週目となりました。今回も協力してくれた生徒のみなさん、ありがとうございました。
今週は『TOEFLテスト 上級英単語2500』は最後の500語(Stage21~Stage25)、そして『出る順で最短合格 単熟語EX 英検1級』から920語(U5-U8)、合わせて1,420語のテストになります。
まずは『TOEFLテスト 上級英単語2500』の500語から30語を抽出したテストですが、30/30でした。(英検1級の単語テストに関しては明日となります。)9週間で2周終えましたが、英検1級+3レベルの単語ばかりで、特に後半(Stage16~Stage25)はかなり苦労しました。
ただ、1周目では500語を学習するのに1週間で20時間程度はかかりましたが、2周目は500語を学習するのにかかった時間は1週間で3~5時間程度でした。1周目は確かに多少の無理をしなければなりませんが、2周目、3周目と繰り返し学習を行うことで学習時間は短くなり確実に単語力を増やすことができます。
単語学習に関しては「効率」ばかりがクローズアップされ、単語テストで点数を取って満足する学習者がほとんどですが、単語学習の究極の目標は「学習した単語を4技能で活用できるようにすること」「学習した単語を長く記憶すること」だと思っています。
小手先の技術ではなく、丁寧に確実に学ぶことが結果、最も効率の良い学習だということに気づかされました。
以前語彙学習に関しては論文も書いたことがあるのでその論文も参照しながら英語学習の側面、脳科学の側面から語彙学習について考察したいと思います。
英語学習の側面
(1)間違えた単語にチェックをつける
どの単語を覚えていて、どの単語を覚えていないかがすぐにわかります。
(2)間違えた単語のスペルを書く
スペルを書く時間は単語学習において一番少ないと思います。教材の余白に書く程度でノートや他の紙に書くことはありません。
(3)初見の単語は辞書で確認
オンラインのロングマン英英辞典、ケンブリッジ英英辞典、オックスフォード英英辞典を使用しました。
①発音
アクセントにチェックを入れたり
黙字にチェックを入れたり
発音記号をチェックすると、間違いも見つけました。
②コロケーション(単語と単語の組み合わせ)
例文や辞書を活用し単語の組み合わせも確認します。殴り書きで何を書いているかよくわかりませんが、『自動詞』とかいているのがわかります。自動詞、他動詞の使い分けも私たちが思っている以上に重要です。
③語源
今回の英単語チャレンジで得たものは「語源の理解」が役立つということでした。今日は1名の生徒も、難しい単語の語源を確認しながら単語の学習をしていました。
「quixotic …非現実的な(ドンキ・ホーテのキャラクターに由来)」
「lunatic…狂人の(古い人々は月が人々を狂わせると思っていた)」
(4)イメージ化
「metamorphosis…変態(ポケモンのメタモンの絵です。)」
「fuselage…飛行機の胴体」
脳科学の側面
英単語の学習の目的を「単語を覚えること」と認識している学習者は非常に多いですが、英単語学習の目的は覚えた単語を長く記憶しておくことで、専門用語ではretain rate(保持率)と言います。保持率を高めるためには、脳の仕組みを知ったうえで学習に取り組むことが重要です
①「難しい単語」という概念は存在しない
まず理解しておかなければならないのは、「難しい単語」という概念は存在しないということです。
例えば"coy"という単語と"restaurant"では"restaurant"の方が発音もスペルも圧倒的に難しいです。しかしrestaurant(レストラン)を簡単な単語と認識しcoy(恥ずかしがりの)を難しい単語と感じるのは、coyが普段見かけない単語だからです。
普段よく見かける単語を専門用語でhigh frequency words, 普段見かけない単語をlow frequency wordsと言い、low frequency wordsを意図的にhigh frequency wordsに変えることで単語の保持率を高めることができます。
②1日で67%の物事を忘れる
有名な理論ですのでご存じの方も多いと思いますが、単語学習において忘却曲線の理論を理解することは非常に重要です。簡単に説明すると、人間は日々一定量の物事を忘れます。(1日で67%、6日で75%)
多くの方がyoutubeで解説してくれていてそちらの方がわかりやすいと思いますので是非ご覧ください。
③1度に覚える必要はない
私は1週間で500語~1,500語単語を学習しますが、1日の学習で全て覚えられると思っていません。もちろん1回1回の学習を真剣に行い何とかすべてを覚えようと努力はしていますが、脳の構造上「忘れてしまう」ということは理解しています。それと同時に、繰り返し見ているとそのうち覚える、ということも理解しています。
まずは学習範囲全体の単語を見て、覚えている単語とそうでない単語にわけ、覚えられない単語を意図的に繰り返し見たり読んだりすることで必ず覚えられる、そのプロセスを理解して学習に取り組んでいます。
④脳は鍛えられる
私は英語の文法や単語だけでなく、文法の内容が解説のどこに載っているか、ものによってはページ数まで覚えています。生徒の皆さんと話した内容もよく覚えています。
前の誕生日に、生徒数名から『リミットレス』という本を誕生日プレゼントでもらいました。(私より生徒の皆さんが読むべきではと思いますが。。。)
その本の中でも紹介されていますが、ロンドンのタクシードライバーはストリート名や建物、またその道順を覚えることによって脳の海馬が一般の人々よりも発達しているということが研究でわかっています。私自身も10代20代のころと比較すると、明らかに記憶力が高くなっています。脳を極限まで使うことによって、記憶力が高めることは可能です。そして脳の力を高めるサポートをするのが、以前からお話しているように食事や睡眠で、記憶力が高まる青魚、ベリー系のフルーツは毎日食べています。
これが私が知る限りの英単語学習の全てになります。保護者の方にとっては単語の学習法を教えて効率的に単語を覚えさせてほしい、と思われるかもしれませんがおそらく一般的な高校生は実践できないと思います。生徒の皆さんに話したことはないですし今後も話すことはないと思います。
ただ、自分なりにアレンジをして、できる範囲内で落とし込むことは可能で、普段の私の学習の取り組みを見て盗んでいる生徒もいます。話して理解させるというよりは学んでいるところを見て、盗んでほしいですね。