生徒の自習時間中に、単語を覚えるための「長期記憶」の話になり1名の生徒がうまく解説してくれていました。また、保護者の方とのお話の際に単語学習の話となり、本当に偶然ですが同日、英語系Youtuberの方が「長期記憶」に関する動画をUPしていました。
結論からお話すると、「テストに合格するために単語の学習に取り組む」、そのためだけの英単語学習は間違えています。点数はあくまでも1つのバロメーターに過ぎません。英単語フェスティバルの結果を紙面で生徒に配布していますが、「自身でオーバーラップして学習するように」という文言を強調しています。
英単語フェスティバルの再テストが続いている生徒の普段の単語学習の様子を見ていると、単語テストに合格することを目的に前日の夜に単語学習を始めたり、1名の生徒は「英単語フェスティバルの準備も前日から始めた」と話している生徒もいました。
確かに再テストの勉強は頑張っていますが、普段の学習の目的と学習の方法が間違えています。ただ、これを「間違えている」と指摘しても生徒は反発しますし、事前準備の重要性を話しても「どうせ前もって勉強してもテストまで日があれば忘れる」と言いますので、失敗を繰り返しながら自分でそれが理解できるよう、待たなければなりません。
厳しい言い方になるかもしれませんが、うまくいかなかった際の対応の仕方が優秀な生徒とそうでない生徒をわけるとも考えていて伸びる生徒そうでない生徒の分岐点ととらえています。他責するのは最悪のパターンで、同じ失敗を何度も繰り返すのもどうかと思います。何が正しいかわからないが次に同じ失敗を繰り返さないように、試行錯誤を繰り返すのがあるべき学習者の姿とも思います。
院時代に、"How does learning method affect the aspect of vocabulary knowledge(学習方法が語彙学習の側面にどのような影響を与えるか)"という論文を書いたことがありました。
重要な点だけピックアップしてお話すると単語を覚える際は
- ①「スペル・意味・発音」を学習すること
- ②等間隔で繰り返し学習すること(Spaced Learning)
- ③アウトプットの学習を取り入れること(Five Steps in Vocabulary Acquisition / Output Hypothesis)
- ④写真や絵などを取り入れること(Dual Coding Thoery)
このような点に留意し学習すると、効果的に英単語の力が身につくとされています。生徒に気づかれないように(たまに気づく生徒もいますが)普段の学習の中にうまく組み込んでいるものも多くあります。
"Reading and Vocabulary Focus"という教材はその1例です。単に英文を読み問題に答えるという長文教材ではなく単語や熟語を使う英会話や英作文のエクササイズが多く、意識して学習に取り組むと英作文/英会話の力が身につくものとなっています。
理論についていろいろとお話しましたが、「理論を知った上で取り組む」というよりは失敗して遠回りし他の生徒の学習からインスピレーションを得ながら学習を進める方がやはり中学生、高校生の生徒にとっては自然かなとも思います。失敗してもうまくいかなくても構いませんので、他責せずに、自分の問題が何か内省し、次につなげてください。