月曜日の授業では、授業内容から波及し3つの内容について生徒と話をしました。1つ目が"natural selection(自然選択)"、2つ目が"ネアンデルタール人とホモ・サピエンス"、3つ目が"ナイン・ドッツ"でした。3つとも受験に関係のないようなトピックに思われますが、3つとも大学受験や英検に出題されたことのあるものです。
自然選択
自然選択は、大学受験によく出題されるトピックです。昨年120以上の大学入試の過去問を解きましたが、2,3回は"natural selection"を目にしたような気がします。簡単な言葉では、自然選択は『環境に応じて種を変化させること』と定義することができます。
クジラは有名な例で、もともとクジラには足があり半陸半水で生活していましたがより敵の少ない海で生き残るために足を失った、そして足のある個体は消え足を失った個体とその遺伝子が生き残った、これが自然選択の一例です。同じように、キリンの首が長くなったのも自然選択の一例です。
太古のクジラ、4本足だった 南米で初の発見 - CNN.co.jp
意外と知らない…キリンの首はなぜ長いのか? | WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
サピエンス全史
昨年、『サピエンス全史』という本を読んだのですがとても面白かったです。
人類の歴史は500万年以上ですが私たちが世界史で学習するのはせいぜいこの3,000年程の出来事です。500万年間で数多くの人間が滅亡し、生き残った人間の一種がヒト科のホモ・サピエンスです。同じヒト科ですが約4万年前に滅亡してしまった「ネアンデルタール人」は入試によく出題されるトピックで英検1級の長文にも出題されていました。
ネアンデルタール人、なぜ絶滅? どんなヒトだったのか - 日本経済新聞 (nikkei.com)
どこからその話になったかというと、2つ穴開けの「ロックの解除の仕方がわからない」と1名の生徒が持ってきました。
その生徒とは自然選択の話をしたばかりだったので「私たちはホモ・サピエンスだから一度自分で考えてみよう」と話したところから、「考えながらで構わないので、なぜホモ・サピエンスより脳も体も大きかったネアンデルタール人が滅亡したか、考えてみてください」と話がつながり、その教室にいた生徒が全員巻き込まれることになりました。
私も専門ではないのですべての原因を知っているわけではありませんが、1つは気候変動(寒冷化)、そしてもう1つはサピエンス全史で学んだ認知革命について話をしました。
ナイン・ドッツ
ナイン・ドッツは世界で最も有名なクイズの1つです。
このように9つの点があり
- 一筆書き
- 4本の直線で
- 9つの点をつなげる
非常にシンプルなルールです。ただ、普通に4本の線で結ぶと1つ点が残ってしまいます。
今までに見たことのないレベルの集中力で取り組んでいましたが、普段の英語学習もこれ程の集中力で取り組んでくれたらな…とも感じました。
「先生、ヒントをください」と言われ、「この問題は常識で考えていると解くことができないです」と伝えました。それでも解くことができずに、「ヒントをもう1つください」と言われたので「『常識に捉われるな』は英語で何と言うか知っていますか?」と尋ねました。「えっ!?えっ!?」と困った表情で他の生徒に助けを求めていました。英語では"Think outside the box."と言います。そしてこの表現こそが、ナイン・ドッツを解く最大のヒントになります。
もう答えはわかったはずです。一度、枠の外に出れば解にたどり着くことができます。(答えはこの記事の一番下にあります。)
実は"Think outside the box."という表現は入試でもたまにですが出題される表現で、例えばこのような形で出題されているのを見たことがあります。
(長文中における)"Think outside the box."の意味に合うものをA~Dの中から選びなさい。
A. 〇〇〇〇
B. ▲▲▲▲
C. ◇◇◇◇
D. ◆◆◆◆
英語学習において文法や単語の学習も大切ですが、好奇心を高める学習、頭を使う学習、知識と知識が組み合わさっていく学習は一見英語力とは関係がないように見えて長期的にみると英語力を突き上げいく一助になると考えています。実際に、学力の高い生徒の方がこの手の話を好む傾向があるとも感じています。
一語で言うなら"総合知"(人間・社会・自然などの多様な側面を総合的に理解し、論理的に考え、判断する能力。一つの専門分野だけでなく、自然科学、人文・社会科学、さらには地域社会、企業・行政、文化・芸術など幅広い領域の知見を統合した知。)という考え方になるのかもしれません。
深く考えずに、「目の前で起きている1つ1つの出来事に意味があり面白い」、その感覚で十分だと思います。そして対極にある「無関心」「めんどくさい」「考えようとしない」これらが学力を下げる最も大きな要因であることは心得ておいてください。
ナイン・ドッツの答え