夏期講習の終盤にさしかかっています。へばってきている生徒も多く、言う必要もなかったのですが「かっこ悪くてすみません。私も正直、毎日一杯一杯です。もう少し頑張りましょう」と何名かの生徒に話しました。
ここまで詳しくいう必要があるのか、と思う部分はあるのですが文字で伝えないと伝わらないところもありくどいところも多そうですが、夏期講習前から現在までの流れを振り返ってみたいと思います。
生徒には一杯一杯と話しましたが、体力的には余力は残っています。ただ、時間に追われることが多いので細かいミスが重なってしまったのは反省点です。
夏期講習期間は毎日、終業が24~25時頃になります。
教室でしかできないプリントアウトを含む作業を教室に残って行い、帰宅してからも教材作成、教室のレイアウト、教室規定の改訂、9月以降の授業について、講師の採用に関する業務(新しくフィリピンの先生とドイツ人の先生が来てくれることになっています。)、看板の作成やウェブサイトの編集などを行い、就寝が早くても4時前後になります。この1か月、外食の時間は0分、テレビの時間は0分、スマホ・インターネットの時間も0分、季節講習中はすべての時間をGRITに注いでいます。
とはいえ、頑張っている自慢をしたいわけでも称賛を得たいわけでもなく、生徒に対しても「それなりに大変だけれど、自分で選んだことですから」と伝え、単純に「今より良くしたい」というのが一番大きな動力です。
私は全く大丈夫なのですが、へばっている生徒が多く、懸念していることは他教科の学習です。
他教科の学習に関しては非常に心配していたので、夏期講習が始まる前から他教科の学習に関する記事をいくつかあげていたと思います。また、特に日程がタイトな高2生,高3生には予定管理表も配布していました。(おそらく誰も使っていないだろうと思います。)
これだけ毎年生徒を見ていると、中にはうまくいかない生徒もいてだいたい怒りの矛先が私に向かってきます。直接は言えないかもしれませんが、目線、言葉数、字の丁寧さ、ケアレスミスの数、その辺から生徒の心情を読むことができ今回は入念に話し合いをして言葉で伝えるように心がけていました。
したがって、以下の内容は事実の確認です。
高2生
①夏期講習が始まる前に1名の高2生に対して、「夏期講習のスケジューリングを心配しています。もし他教科の学習を家でできず後になってGRITの課題が大変で他教科を十分に学習ができなかったと言うくらいなら、前もってGRITで他教科の学習に取り組んでください」と伝えていました(ほぼ原文そのままです。)
②その生徒はどうかわかりませんが、多くの生徒は夏休みの宿題がまだ多く残っていると話していました。直前までバタバタしている状況を鑑みると、授業前後に2時間~4時間程度、他教科の夏休みの宿題に取り組む時間を設定しておくべきだったのかもしれないと思うこともあります。
③英語塾が他教科にどの程度足を踏み入れるべきかというのは非常に難しい問題です。GRITに通っている以上英語力と英語の点数は上がっていきますが、英語だけではもちろん受験に合格することはできません。他教科に関して何もしなければ「英語が他教科の負担になって…」という生徒が出てきますし、何かをすると「他教科の取り組みが負担」という生徒が出てきます。仕事ですので英語力が上がることに対して感謝される必要もないですが、どちらに進んでも結局は恨まれることの方が多く「私の仕事は一体何なのだろう…」と感じることも多くあります。一番はGRITの生徒が高いレベルを求められていることを自覚し、各々が主体的に取り組んでくれることが理想ですが、それも難しいです。私一人ではなく全員で考えなければならない問題かもしれません。
生徒に何かを話したり何かを考えた後にはそれぞれポイントを振り返るようにしています。伝わった部分がどこで伝わらなかった部分がどこか、なぜ伝わらなかったのかも考えています。今回でしたら①~③の3つのポイントがありますがどの部分が正しくてどの部分が正しくないかを確認するようにしています。そして、極端に的を外していれば、指摘されるべきだとも思っています。
選択肢
このGRITの夏期講習の受講方法にも問題があり、受講できる日の選択肢が多いということです。
一見「融通が効く」そのように感じられるかもしれませんが、選択肢が多いということが落とし穴ということに気づき、ルーティーンを徹底している生徒もいます。
少し前に「選択の科学」という本を読みました(良い本で国語の評論にもでてきそうな話だったので教室にも置いています。)
有名なお話ですが、選択肢が多い場合ネガティヴな結果になることが多いというエピソードも紹介されていました。したがって本来は、「8/1-8/5までは中2生」「8/6-8/10までは中3生」のように選択の幅を狭め固定することがベストですが、GRITのような単科の塾ではそれが厳しいので何とか今の形でやりくりしています。季節講習をなくせばと思われるかもしれませんが、「(成長曲線の理論から成長期を作るために)どこかで無理をしなければ学力は上がらないので多少無理して勉強する期間も必要」だと言うことも今日、1名の生徒に伝えました。
学校がある期間は多くの時間を英語学習に割くことができないので、目に見える形で学力を上げることは難しく「停滞期」に相当します。そして季節講習では、しっかり頑張ってもらって「成長期」に相当する学習を行っていると認識していただければと思います。どちらかが欠けてはいけませんので、バランスに気をつけてカリキュラムを組んでいます。
今日はオープンマイドですので1つ打ち明けるとこのカリキュラムを作成するのにかかった時間は1,000時間を軽く超えています。
ぺナルティ
今回の講習では3回以上欠席した場合は、3回目から1回欠席ごとに2時間の追課題というぺナルティを設定しています。(夏ですので1回はオープンキャンパスや学業に関する欠席、1回はご家庭の用事や体調不良などの欠席、と想定し2回としています。)このような取り決めをしておかなければ何度も振替を希望する生徒が出てきますので1つはその予防のためのものです。しかしそれ以上に重要だと思っているのが、実はこれはペナルティではなくルーティーンと予定を崩させない(規則的な学習が一度崩れると大崩れする生徒がいます)、生徒の学習を守るためのものでもあります。仮に欠席が重なっても2時間の追加題で塾で自分の教科を学習できるというものなのでぺナルティと言うようなものでもありませんし、欠席が増え叱るようなことももちろんしていません。
高3生
高3生の生徒に対しても1,2週間程前から、今後の学習の見通しについて話をしています。1週間の総学習時間から、おおよそですが【英語8時間】【数学16時間】【理科20時間】【国語6時間】【社会10時間】と試算し、それぞれの教科に対して生徒の認識とどの程度の差異があるか、授業時間内で何を重点的に英語学習をするかを話し合っています。そして偏差値では英語が第一教科、第二教科になっている生徒がほとんどですので意図的に英語を少なめに見積もって提案しています。
(トラブル防止のために、先週その話をした際に撮った写真も保存しています。これは1週間程前の8/15前後に撮影したものです。)
本来このようなことはしたくなかったのですが、毎年起こり得ることが「GRITでとんでもない量の英語を学習させられ他教科が圧迫される。」と生徒から保護者の方へ違った形で伝わることもあるので、各教科のバランスを考慮してコミュニケーションをとっていることを証明するためにも写真を残すようにしていました。
英語の点数さえあがれば良い、英語の勉強をしさえすればよい、そのような無分別なことはしていません。
ご家庭で
また、生徒の様子を見て、保護者の方が「もう英語はその辺にして他教科の勉強をしないといけないんじゃない」、そのようなやり取りがあると子どもは完全にブレます。「そんなことない。私は英語もまだまだで、他教科も並行させもっと学力を上げなければならない」、そう返答できる生徒はごく一部の生徒で各学年に1名いるかいないかです。英語が大丈夫と言えるほどの生徒は高校生にはおりません。「GRITの勉強が大変で家に帰ったら寝てしまうなら、11時頃までGRITで残って他の教科もやり終えてきたらいいんじゃない」その程度のスタンスで接していただけると助かります。再テストが続かない限り、他教科を圧迫する程の課題は出していませんし、話を聞く限りは夜中までゲームをしたり、祭りやラウンドワン、カラオケに行くことのできる余裕が残っている生徒も多くいるようで、まだ時間に余裕があるようにも映っています。
自習スペース
他教科に限らず、英語学習に関しても、学校の定期テストで平均点に届いていない生徒、再テストが続いている生徒もいますので英語学習が順調かと言われると厳しい生徒も何名かいます。もちろん逆に順調に学習が進んでいる生徒もいますので、その生徒には自習や他教科の声かけはせずに自身に任せるようにしています。
個々の生徒に対して、全体に対してもいろいろと話はしたのですが、それでも状況は厳しそうだと感じたので、生徒にこの教室を専用の自習スペースと認める旨を伝え、自習に関する取り決めを伝えました。
何も聞かされずに自習に関する取り決めだけを聞かされると「どのような暴君か」と思われるだろうと思いますが、定期テストの点数を改善させようとしない、他教科を後回しにする、単語テストの度重なる不合格、度重なる欠席、深夜までのゲーム、受験生になってもインスタ・ツイッター、何も変わらない、何も主体的に変えようとしない、そのような過程があり、長期間経ての今です。昨日、今日で決めた話ではありません。
また、この考え方はどうかと思いますが、自習スペースは私から生徒への年間120万円の投資です。もちろんですが、他教科の学習を行うことも可能で、教材を置くことができるように簡易の本棚も用意しています。ここまでが私にできるサポートだと感じていて、あとは生徒次第かと思っています。
生徒や保護者の方からネガティブな意見が出てくることもある程度は想定し、何名かの生徒にもそう伝えています。ただ、他教科や定期テストの問題は長期的にも続いていく問題で必ず解決しなければならない問題です。おそらく生徒自身も心のどこかでは理解しています。そして他教科の学習やそこから生じるインスピレーションが最終的には英語力につながっていくとも信じています。
決して毎日自習に来なさいというわけではなく、バランスのとれた学習、後回しにしない学習、定期的な学習を実現するためのもので回数も時間も自己判断と考えています。安定した成績や学力が身につけば塾に頼らず自分でできることが望ましいです。
変化
今日は1名の生徒に「私はこの夏、というよりはこの1年ほとんど生徒を叱っていません。生徒を叱る指導はやめました。私も変わらないといけないように、生徒の皆さんも成長したいなら必要に応じて変わらなければならない」と話をしました。
自身の弱点を知りそれを改善するためにも、昨年は100冊を超える本を読み、それまで読んだこともなかった論語や韓非子、貞観政要のような中国の歴史書も多く読みました。
学習がうまくいっている生徒に関してはそのままで良いと思いますが、そうでないのであれば常に心をオープンに、自身を分析し、無理のない程度で変えられることを変えていくべきだと思います。学力の高低でなくそれができる学生が「優秀な学生」なのだろうと思います。悲観的な考えですが、変わらない生徒はおそらく自分の殻に閉じこもり何も変わらず結果を出す確率も低くなろうと思いますし、変わる生徒は変化の過程で失敗も多くするのでしょうが、最終的には結果を出せる可能性が高くなるのだろうと思います。