IAE 英語塾GRIT

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【8月27日】英語力・知力・体力

本日、1か月半続いた夏期講習が終了しました。生徒の皆さんお疲れ様でした。保護者の皆さまも授業の終了時間がなかなか定まらない中、連日のご送迎誠にありがとうございました。

 

夏期講習の終了は、次の学習の始まりを意味します。9月から様々な変更がありますがそのうちの1つが高3生の学習です。これまでの英会話の学習を含めた総合的な英語学習から、大学入試に向け、特に2次試験に向けての学習が始まります。

 

私も生徒が解く大学入試の過去問は毎年解くようにしていて昨年は80過去問ほど解いただろうと思いますし、今年もまた80過去問程解くことになるだろうと思っています。

 

 

大学入試の2次試験の問題は英語の知識だけで解いているわけではなくそれまでに培った様々な知識を活用しながら問題を解かなければなりません。また、受験者の思考力、判断力、表現力を単に「英語」という媒体で測っている、そのような意図が明確な試験問題もあります。

 

今週生徒が解いた「千葉大学(2019年度)」と「関西学院大学(2020年度)」の過去問から、大学入試の2次試験、私立大学の試験で英語力以外のどのような力が求められるか、違った切り口からお話したいと思います。

 

英語力

 

まずは何よりも英語力です。私立や国公立の2次試験は基本的にはリーディング/英作文/(大学によっては文法)ですので、単語力/読解力/英作文(文法)、この3つの力が特に重要になります。

 

千葉大学は関西では大阪公立大学と同じくらいのレベルと位置付けられていて準難関大と呼ばれることもあります。今日は20時頃に夏期講習が終わり、その後問題を解き始め、今まさに(23時頃)千葉大学と関西学院大学の過去問を解き終えました。千葉大学の長文ではそこそこ難しい単語も脚注がないものもありトピックも難しかったです。GRITの生徒であれば想像できると思いますが、『英英英単語 中級編』に掲載されている単語で脚注のないものもいくつかあるというレベル感でした。

 

1つ目の長文が難しいと感じましたが2つ目の長文が易しく、解く順番で点数が大きく変わるかもしれないとも感じました。そこは数をこなしながら自分で判断できるように、これからの課題ですね。確かに、昨年、日本で一番難しいと言われている早稲田大学理工学部の過去問を解いた生徒がいましたが、第1問から解き始めた場合と第1問を後に残した場合では15%~20%の得点差がありました。

 

知力

 

千葉大学の長文の1題目は理系内容で「論理的思考力を身につける学習の重要性」というものでした。片面にE,2,5,Fと書かれたカードがありアルファベットと数字が対になっています。「片面がEなら、その裏面が5である」という命題が与えられこのルールを証明するためにはE,2,5,Fのどのカードを使えば良いか、その理由、そしてそこから論理的思考力を身につける学習の重要性と話が続いていました。

Eのカードの反対は必ず5ですので5以外の数字が来ているとルール違反になります。5のカードの裏が必ずしもEになるわけではないので5のカードを調べてもルールを証明できません。したがって1つ目に選ぶカードは確実にEです。

 

では、2とFのカードのどちらを調べるとこのルールを証明できるでしょうか。

 

当然ですがFのカードの裏面はどの数字でもなりえますのでFのカードを調べてもルールの真偽を証明することはできません。一方で2のカードの裏面は必ずE以外のアルファベットがきますのでEが来ているとルール違反となります。したがって2つ目に選ぶカードは2です。

 

Eと2を調べるとこのルールの真偽を証明することが出来ます。

 

日本語でも意味がわからないと感じる方もいるかもしれませんが、英語ではさらに意味がわからないと感じると思います。それでも問題を解き、合格点を超えなければなりません。どのような取り組みを行えば、このような厄介な問題に対応できるか、指導の中で感じたことをお話します。

 

論理的思考力

 

まず先ほど紹介した「4枚のカード」の問題ですが、実はこの『論理パラドクス』という本にも紹介されている有名な問題です。

 

 

英文を読み、この謎を解くのも面白いのですが、おそらくこのレベルの英文を読もうと思うと20分~30分程かかるか、あるいは読めない、読んでも理解できない受験者もいるのではないかと感じました。制限時間で焦りもあると思います。

 

もし受験前にこの問題を解いたことがあれば、その英文の前半300words程度を飛ばして読むことができ時間的に有利な状態で進めることができるだろうと思います。もちろん「入試問題」で出題される可能性があるからこのような本を読んで対策しておく、というのではなく、このような問題を解くことが楽しいから、例えば朝起きてパンを焼いている間に1題解く、そのようなラフさで十分だと思います。

 

他に実際にあった例としては、昨年、生徒に頼まれ国語の評論問題を解きました。その問題を解く3,4日前に「るるぶ」という旅行雑誌を読み、イギリスの大英博物館の歴史の記述を読んだのですが、評論問題に出題された内容が「大英博物館の成り立ち」から始まり、美術館や博物館の重要性、それを残す難しさ、そのような内容だったと思います。もちろん評論問題を解くなど思ってもいなかったので、本当に偶然でした。

 

点数は45/50でしたが、問題を解く前からある程度点数は決まっていたのではないかと思います。

 

少し話が飛びましたが論理的思考力のお話です。実際に問題を解いたことがなかった受験者は英文を読みながら考えなければなりません。したがって英語力に加え、知力も求めらるタイプの入試問題です。

 

個人的には実体験からプログラミング、チェスは論理的思考力を高めるのに役立ったと感じました。

 

教室には「論理パラドクス」「脳トレ」「オックスフォード大学」や「ケンブリッジ大学」の過去問を収録した本など様々な本を置いて、(まわりくどく話すといやらしく感じますので)単刀直入に話すとIQを高める取り組みをしてほしいと思っています。

 

IQという言葉自体嫌われているということを理解している上でお話しますが、東大生の平均IQは120と言われているので、厳しい話ですが東大を目指す生徒はそれより低ければディスアドバンテージを抱えた状態からのスタートになります。国公立大医学部の受験者層も似たものだろうと思います。私も英検1級受験の際に自身の知力の限界を感じ、本を読んだり、脳トレをしたり、食生活を変えたり様々な取り組みを行いました。最近測ったIQ131の信ぴょう性はわからないですがもしそれが正しいならおそらく後天的なもので、ある程度は努力で「知力は上がる」と思っています。

 

たまに「ナインドッツ」の問題や「鶏と卵の問題」について生徒に問うこともありますが、私の趣味だけでやっているわけではなくてこのようなやりとりが入試につながる可能性があるという意図もあり、英語とは一見関連のない話をすることもあります。

 

思考力

 

関西学院大学の1題目の長文は「私たちが知覚している世界は真実か」というトピックでNoの立場から、なぜ私たちが知覚している世界が真実ではないかという著者の意見が述べられていました。

 

思考や哲学に関するトピックは得意にする生徒と苦手にする生徒が分かれると感じています。例えば高校生の中には、マイケル・サンデル氏の『これからの「正義」の話をしよう』、このような本をすでに読んでいる生徒もいると思います。(トロッコ列車のジレンマも頻出のトピックで、早稲田大学でも過去に出題され、確か熊本大学(違っていたらすみません。)、どこかの国公立大学でも出題されていました。)

 

また、このような東大生や京大生が読んでいるような本を進んで読んでいる高校生もいるかもしれません。

 

入試過去問

 

千葉大学、長文の2題目は「子育てにおける祖母の重要性」というものでした。文系内容ですね。

 

「15万年前に遡って…」というところから話が始まりますが、今日は1名の生徒が世界史の学習をしていて「人類の起源」を飛ばして学習していました。「せっかく面白いところなのにもったいないよ」と伝えたのですが、この時代の話も英語の長文ではよく出題されます。以前『サピエンス全史』という本を読んだことがあるのですが本当に面白かったです。15万年前は、まだ何種類かの人間がいた時代で、ホモ・サピエンス以外の人間が絶滅するのが約3万年前です。それを知っていると情景がなんとなくイメージできると思います。

 

子育てにおける祖母の重要性」は高3生の生徒は最近学習したばかりの内容でした。どの教材だったかな、と思い最近使った教材を何冊か見直してみるとこの教材の12番目の長文で「子育てにおける祖母の重要性」という全く同じ内容を学習していました。(出題元は学習院大でした)もちろんそれを知って千葉大の過去問を選んだわけではないので偶然です。

 

 

大学入試は同じような内容の長文が多く、たくさん問題を解きその内容を覚えておくと次に似たトピックが出題されることがあった場合かなりのアドバンテージを持った状態で読み進めることができます。

 

世界史

 

関西学院大学の2つ目の長文は「歴史における塩の価値」に関する内容で、マルコ・ポーロの東方見聞録から話が始まり、どの時代にどの国で塩がお金の代わりとして使われていたか、そのような話でした。英語と最も関連のある教科が「世界史」と感じていて、個人的には昨年生徒と一緒に世界史を勉強させてもらってその知識が役立っていると感じることもあります。

 

 

昨年はこのような「高校生からわかる」というシリーズの1冊で『イスラム世界』という本を読みイスラム教の歴史についても学びました。(英検1級のライティングやスピーキング試験では宗教に関するトピックが頻出で厄介な内容です。)

 

今日は1名の生徒とローマの五賢帝時代の話になりましたが五賢帝の一人、マルクスアウレリウスアントニヌスが書いた『自省録』も読んだことがありました。

 

その関連でイタリア関連の本も読みました。

 

この本だったと思いますが、「カノッサの屈辱」の詳しいエピソードのようなものも紹介されていました。

 

雑学

 

関西学院大学の3題目の長文は、「トマト」に関するトピックで、トマトの歴史に関する内容で読みやすいものでした。トマトに関してはある程度予備知識がありトマトの色が鮮やか過ぎるが故、毒が入っているかもしれないという人々の恐怖からトマトは長い間観賞用だった。イタリアの貧しい農民が空腹に耐えかねトマトを食べ始めたのが、人々がトマトを食べ始めた理由だった(多くの方がトマト=イタリアというイメージを持っていると思います)、ということは予備知識として知っていました。

 

というのも以前『世界史を大きく動かした植物』という本を読み、6つか7つ程植物が紹介されていたのですがその1つがトマトで、その内容を覚えていました。

 

ジャガイモに関する記述はかなり衝撃的でジャガイモに関しては2冊、ジャガイモに関する本を買って深く学びました。

 

英文を読んでいる時に"New World"という表現を何度か目にし、「この類の長文も最近授業で扱ったな」と思い教材を見直してみるとこの教材の4つ目の長文、法政大学の過去問で似たトピックを学習していました。

 

 

その長文でもトマト、ジャガイモ、コショウが新大陸からヨーロッパにもたらされヨーロッパ人の食事がどのように変化したかというもので本当によく出題されるトピックです。「茶」「稲」「チョコレート」など主要な食べ物の歴史は頻出のトピックですので簡単に勉強しておいた方が良いかもしれません。

 

体力

 

英語の試験でもう1つ重要な要素が体力です。例えば、今日は夏期講習で1名の生徒が英検準1級の過去問、もう1名の生徒が共通テストの予想模試を宿題として解いてきました。

 

非常に興味深かったのが両名ともに全体で60%~70%を超えていたと思いますが、最後の大問は両名とも0点でした。これは偶然ではなく必然で、予兆があったので両名に対して今週、学習における体力について話していたばかりでした。「最後まで集中力がもたなかったのかもしれない」と分析できますので、英語力とは直接関係がないかもしれませんが、指導者として生徒に伝えなければなりません。ただ、この部分は自身の性格とも関わってきますので自身が「それを問題」と認識しない限りは改善することはないとも感じています。

 

以前、『The Goal』という本を読み、その本では成長を阻害している目に見えない要因を"bottle neck"と表現していました。

 

 

飲み物のビンを想像してもらうと、首の部分が細くなっているものもあり、そこで何かしらつっかえているという様から"bottle neck(=成長阻害要因)"という意味になるようです。

 

 

分厚い本で読み終えるのに2週間程かかりました。私は自身のボトルネックを「知力の低さ」としそれを改善するために自身で考えアクションを起こしましたが生徒の皆さんも同様に英語の点数が上がらない原因は英語力に起因しない、そのような場合もあると思います。

 

典型的な例で言うと、男子生徒であれば字の雑さや時間のルーズさ、整理整頓。女子生徒は意固地な生徒がたまにいて他者の考えや取り組みを頑なに受け入れようとしない生徒もいるように感じます。男女ともに計画性、継続性のなさを感じている生徒もいるかもしれませんし私のように知力の限界を感じている生徒がいるかもしれません。

 

複数当てはまっている生徒は首が締め付けられて感じているかもしれませんが、一番まずい状況は自分のボトルネックが何かわかっていない、自分のボトルネックを違うものにすり替えている場合です。故に、他者からのアドバイスは自分の弱点を知る貴重なソースになります。

 

今日は「斜め椅子」をしていた生徒、靴紐を結ばずにだらしないことになっていた生徒に対して「きちんとするように」と伝えましたが、その生徒は今日は宿題をきちんとできていませんでした。私も決して常に完璧ではないのでいつも偉そうなことばかり話していて申し訳ない(というよりも『自分は何様なんだ』)と感じているのですが、日々の振る舞いが学力に関わってくると考えていますので、英語や受験と関わってくる以上伝えなければならないと思っています。

 

ちなみに「振る舞う」は英語で"behave"と言いますが、昨日1名の生徒がスペリングの単語テストで間違えていました。「behaveはbe動詞とhave、英語で最も使用頻度の高い2つの動詞が組み合わさってできている単語です。古人が作り出し、単語から伝わるように日々の私たちの振る舞いは大切なんですよ」そのような話もしました。

 

話があちこちへ行きまとまりのない話になってしまいましたが、英語の点数(もちろん他教科の点数も同様です)は英語力・知力・体力の複合的なもので生活習慣が関係していたり、目に見えない成長阻害要因「ボトルネック」というお話もしました。

 

今日は何冊かの本から得たアイディアを紹介しましたが本から得られるものがすべてでなく体験から得られるものも重要で、知識・体験ともに重要です。今でも心得ている生徒もいると思いますが、全員がそれを心得て、高1生・高2生は受験に向け準備を進めてください。

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