先週1名の生徒が模試の結果を持ってきました。模試の結果を受けても特に二者面談や三者面談をすることはなく、生徒に対しても「厳しいことしか話せないので、特に面談はしないですよ。」と伝えたのですが「それでも構いません。」と言われたので少しだけ話をしました。
生徒が「うんうん」と首を振って話を聞いてくれていたのが英語ではなく国語の話でした。私は国語、特に評論が得意ですので評論に関する話をしました。(このブログ記事も約8,000文字、原稿用紙約20枚分ですので、もともと文字や言葉が好きなのだろうと思います。)その生徒が国語の評論が苦手と話していたので「1枚のカードがあって『赤の裏は青』という命題があったとき、『青の裏は赤』と言い切れるかどうか。」と尋ねました。少し簡単すぎる例かもしれませんが「国語の評論はその言葉の意図を考える。それが難しい言葉や抽象的な言葉を使っているのでわかりにくいですが、言葉遊びのようなものです。」とアドバイスをしました。
英語に関してはそのような雑なアドバイスはできません。「厳しいことしか話せない」というよりも実際に私の話すことはほとんど生徒に役立つことはないだろうと思います。英語に出会うまでは凡庸な成績でしたが、英語と出会ってから、日本国内の大学、海外の語学学校、海外の大学院それぞれでほぼトップの成績で英検1級もライティングとスピーキングはほぼ満点近くの点数でしたのでトップへ上がる方法しか知りません。
不思議なもので英語に出会うまでは退屈で仕方なかった「哲学」や「教育心理学」のような授業さえも楽しく感じ成績が上がり英語に出会って以降英語以外のほぼすべての成績が「優」でした。英語に関する教科はおそらく断トツで、イギリスの大学院受験の際推薦をお願いした外国人教授の話ではその教授が受け持った10数年の全ての学生の中で私の成績が過去で一番高かったようです。(もちろんそれぞれが非常に狭いコミュニティで井の中の蛙ですが。)授業終わりに教授室に呼ばれたり自ら赴いて英語や文法の話をしていただいたこともありました。自分の中で眠っていた何かが開花したのかもしれません。
GRITの生徒を指導していてもダイヤの原石のような生徒に出会うことがあり、高校入学時には英検3級や準2級しか持っていなかった凡庸な英語力の生徒が英検準1級に合格したという生徒が何名かいます。精神面の変化がきっかけで英語力が上がった生徒、GRITの英語学習でさらに英語力とセンスに磨きをかけて英語力を上げた生徒、様々ですが全ての生徒に共通点があり見えていた景色が似ていたようにも感じます。言葉では説明しづらいですが、「トップを目指す」「英語力を上げる」、そういった英語学習に対しロマンのようなものを感じていて、英語と他教科、学業と私生活がつながっていました。私と見えていた景色も近かったので、お互い自然な距離感でコミュニケーションをとることができていました。
ダイヤの原石と美しい言葉で例えましたが、実際には厳しい言葉をかけられることも多いだろうと思います。最近では夏休みが明け宿題不備、欠席、授業中の居眠りの生徒があまりにも多かったので「学校は君たちの精気を奪うクソみたいな場所なのか」と話しましたし、何年か前の生徒は「うまくいかないことがあれば親のせい、学校の先生の悪口。下水道の濁った水の中を死んだ魚のような目をして泳ぐ魚のような学習者になるのか、青く澄んだ空で翼を広げて強く自由に飛んでいる鳥のような学習者になるのか。どちらか。」と話をされた生徒もいたと思います。極端な例ですが、自らの意思で高みを目指している生徒と言われたことを仕方なくやっている生徒では見えている景色はそれ程異なっています。
今日の授業では別の1名の生徒に「クラスや学年で1位を取ることは難しいことではない。なぜならただ勉強しさえすれば1位になれる。本当の意味でトップの生徒は、高い学力を有するだけでなく、組織やコミュニティに対し貢献している。そして、組織やコミュニティに貢献することが自身の学力にも良い影響を与えることがわかっているので、自身の能力を超えるその上のレベルまで行くことができる。トップを目指すのであれば、常に自身の行動を問い、高校生活過ごしてください。」と話をしました。
私が英語に出会ってから経験した学習や生活の取り組みを少し紹介します。おそらく今から話すことは何もできないと思います。初めは、「前回の定期テストより良い点数をとる」、それで十分です。今まで人に言われてやっていた勉強を自分の意思で取り組むようになった時0が1になりますので今回の定期テストを1にできるよう、すでに1のステージにいる生徒は10や20にできるよう意識を持って取り組んでみてください。
自身の学習を10や20にする方法がわからないのであれば定期テストが終わった後、少し休み、その日の夜には次の試験に目を向けてください。10月の半ばは英検で10月の下旬は英単語フェスティバルです。11月下旬からまた定期テストが始まり12月上旬から冬期講習です。英検2級模試と共通テスト模試も予告しています。
学習面
すべての時間勉強
基本は毎日勉強です。空いている時間のすべての時間を勉強に充てます。やらされて勉強するのではなく、「楽しい」「試験に合格したい」「授業をより良く理解したい」と思えば毎日勉強するのは普通で特別なことではありません。と、話すとここで90%以上の学生が脱落しそうです。
ここでの「すべての時間勉強」というのは1日中勉強しているというわけではありません。例えば「早朝のジム/ジョギング」を日課にしていて、朝10時~夕方16時まで授業がある場合、夕方以降は基本的にフリーです。夕方以降、17時~22時までは毎日勉強するということです。健康を疎かにしたり食事の時間や睡眠時間を削って勉強するということではありません。
自身のイギリスでの生活はこのような感じだったのですが、英検でロンドンを訪れた日×4日程度、恋人との旅行(チェコ×7日/ハイランド×5日/エディンバラ×2日)、クラスメートと食事に出かけた日×3日以外はそのような感じでしたので365日中340日程は10時間以上は勉強していたと思います。
生徒の何名かに「遊びすぎ」と注意をしましたが、定期的に家族旅行へ出かけるなら友達や恋人との時間は抑えなければなりませんし、友達との時間が多いのであれば恋人や家族との時間を抑えなければなりません。誰彼構わず付き合っていると時間はいくらあっても足りませんし日々のルーティーンを損なう可能性があるので、私の場合は平日は「昼食は一人かクラスメート」、「夕食は恋人」、その他の時間は一人でジムか勉強と使い分けていました。1年で恋人との旅行は3回、クラスメートとの食事会も3回、とイギリスでの生活はそのような感じでした。
自身の体験と、過去の生徒の様子を見ていると、中学生であれば各季節で2-3回、高校生であれば各季節で3-4回遊びにでかけていれば少し遊び過ぎではないかなと感じます。もしそれ以上の場合、余程時間の使い方が上手か、目標が低いか、いずれにせよそこそこ忙しく時間が足りないと感じるくらいの方が正しく時間を使うことができると思います。
定期テスト
大学院にも「定期テスト」のようなものがあり、論文の提出とプレゼンの発表がそれに当たります。論文の提出が年15本程(3本×5回)、プレゼンが年2回でした。提出の直前になって生徒が慌てていて、国籍や年代問わずその景色は変わらないなと思いながら、私は論文提出の2-3週間前に書き終えていました。
高校生の生徒にもたまに「学校で学習する内容は動画や参考書で学習できると思いますし、次のテストの範囲もある程度わかっていると思います。直前になってバタバタ勉強するのではなく、テスト発表の前の週くらいには終わらせておいたらどうですか?」と話すことがあります。直前に詰め込んで勉強しても忘れるだけですので一夜漬けのようなことをしている生徒には「どうして忘れるためにわざわざ覚えるの?」と言うことさえあります。
人に教える
論文を2-3週間前に書き終えているので、他の生徒がバタバタしている間余裕をもって過ごすことができます。そうしていると、他の学生から「手伝ってほしい」と依頼されることが増えました。
日本や中国の学生からは論文の文法チェックを依頼されることもありましたし、ネイティヴやヨーロッパ圏の方からは「動画授業の作り方」「ウェブサイトの作り方」「オンラインでの課題の提出のしかた」「ワードやパワーポイントの使い方」のような質問を受けることも多かったです。
365日中340日は勉強していたと話しましたが、図書館の指定の位置で勉強していて連日のように誰かが質問しにきてはお礼のお菓子を置いていってくれ、机の上がお菓子だらけでした。中には賞味期限の切れたものや半額の値札の貼ったものがあり『海外らしいなあ』と笑ったこともありました。
日本にいる頃から院でどのような勉強をするかは知らされていたのでウェブサイトを作るために必要なHTMLやCSSの知識は日本にいた頃から勉強していましたし、課題図書や文献はある程度読み、理解した状態でした。
「次の試験で落第したら中国に返され母親が泣く」と泣きつかれ、1,2晩かけて中国人の男子学生のウェブサイトを作ったこともありました。
周りの生徒が高い点数をとることは嬉しかったですし周りの学生の成績が上がれば自身も一層頑張らなければならないので自身の成長にもつながり、周りも自分もハッピーになることができ、学業は留学生活の中でハッピーな出来事の1つでした。
周りを巻き込んで自分を成長させる
フィリピン留学では2回校内模試を受験し2回とも1位でした(150人程が受験した模試でした。)2回連続1位は快挙だったようで私よりも周りのクラスメートや先生が盛り上がっていました。
私はフィリピン留学中マネージャーの方との業務連絡以外は日本語を使わず、日本人学生とも英語で話をしていたのですが、母国語を使っている学生ばかりで「この子ら何しにここに来たのだろう」と思っていました。毎日15時間以上気が狂う程勉強し校則も守り試験でも結果を出したのでその点が評価されたのかもしれませんが、「EOPルール(母国語禁止ルール)を作りたい」と申し出ると先生方も協力してくださり、掲示板で募集したところ50名程の学生がこの取り組みに参加してくれました。「母国語を使った生徒は1回につき罰金50円」というルールを作り、その罰金を学校を通して慈善団体に寄付していました。
出会いにも恵まれ海外の大学院を目指す4人の生徒と出会うことができ、毎晩夕食後に散歩をして皆の夢が叶うように5人で月に手を合わせて祈っていました。最後に皆で手を合わせた日が7月31日で、その日はブルームーンだったことも覚えています。別れの日は抱き合って涙を流していました。
努力を形にする
少しプラクティカルな内容です。生徒に対し、「私は見たもの(実際のテストの点数、GRITでの自習、勉強で使ったノート)しか信用しない」と話しています。人だけでなく自分自身に対しても目に見えない努力に対してあまり信用がありませんので自身の学習に対しても常にアウトプットを意識しています。
生徒とのやり取りでは「頑張ったんですけど定期テスト平均点切りました。」と話していれば、「いや、頑張ったなら平均点くらいとれるでしょう。」と平然と言います。
自身の学習に関しては、例えば私は英検1級受験の際に4冊の単語帳から苦手な単語3,000語を書き出しこのようなプリントを作っていました。
このプリントをもとに毎日単語テストを行い、点数に残していました。
ライティング/スピーキング学習でもこのようにトピックを書き英文を書き暗唱していました。
また、私は大学受験の勉強を始めるのが遅く今この時期(9月の半ば)でした。そこからセンター試験までに使ったノートの数は具体的には覚えていないのですが140冊前後で8月のセンター模試から本番のセンター試験で270点程点数が上がりました。
見えない努力を美徳とする考えもありますが、努力をしない言い訳にもなりますし中高生の場合だいたいが後者です。自信は努力と目に見える数字でしか身につかないので、目に見える努力、特に数字は意識するよう心掛けてください。
以上、お話したことが学習面で気をつけていたことです。特に大したこともしていませんがこの程度で実際には1位をとることはできますので、1度意識して取り組んでみてください。
生活面
大学院留学では、壁に目標を書いた紙を貼っていました。
先ほどからお話しているように勉強はやればできます。高い成績を取ることも英検1級をとることも努力すれば達成できます。一方で私の苦手なことが他者との関わりです。大学院留学の第一目標として他者との関わりを置き、付き合いの悪くコミュニケーションを取るのも億劫に感じている自分がどのようにコミュニティに貢献することができるか、そしてそれが学業にも今後の人生にもつなががるだろうと感じていました。
清掃①
私は10名の国籍の異なる学生(男子3名、女子7名)とキッチン、バス、トイレをシェアして生活していました。話では聞いていましたが、大学寮の散々たるはインターネットの情報以上で他の寮はゴミ屋敷のようになっていました。
私はロンドンでホテルでのアルバイト経験と日本で清掃のアルバイト経験があるのでバスやトイレを清掃することに何の抵抗もありませんでした。週2回は清掃の方はきてくれてはいたのですがそれでは不十分でゴミ屋敷になります。自分の清掃セットを用意し、毎日、キッチン、トイレ、バスを清掃し共用スペースには掃除機をあて、ゴミがあればゴミ出しをしていました。1年続け、「全ての大学寮で最も清潔な大学寮」と清掃のおばさんがいつも褒めてくれていました。清潔な場所には人は集まりますし、人間関係のトラブルも少ないです。よく私のクラスメートやルームメートのクラスメートが来て食事をしながら話をしていました。
ルームメイトのイタリア人の男子学生から「いつもKyoばかりやってもらって申し訳ない」と言われたのですが、「若いんだから気にせず遊んでしっかり勉強すれば良いよ。」と返答しました。
清掃②
海外の大学院の移動教室が多かったのですが、机が整っていなかったり机の上が汚れていることも多くあり「机を並べる」「机の上のゴミを捨てる」そのような習慣がないのか?と感じることもありました。少し早く教室に入り、机を並べたり、ウェットティッシュで机を拭いたりしていました。
コピー機のトラブル
学校が始まってすぐだったと思いますが、1名の女子学生が印刷機のトラブルで困っていました。クラスメートでもなくどこの国籍の子かもわからなかったのですが、私は新聞会社でアルバイトを経験していたので紙詰まりには比較的強く、何とかできるかもしれないと思い「Can I have a look?(少し見ていいですか?)」と尋ねました。結局直せなかったので、図書館の受付にいきコピー機が壊れているという旨を伝え、その学生にはパソコンから他の印刷機に飛ばす方法を教えました。
その姿を中国人のクラスメートが見てくれていて、教室が一緒になったときに「コピー機のKyo」と声をかけてくれました。私を兄のように慕ってくれ最終日には丁寧な手紙もくれ、帰国後もやり取りを続け、よく中国の言い伝えのような話もしてくれました。
体調管理
海外、特に海外の経験が少ない方はかなりの確率で体調を崩すだろうと思います。フィリピン留学では同期入学の生徒が体調不良で学校を休んでいたので、症状を聞いて薬とブランケット、果物を買って届けたことがありました。大学院留学でもクラスメートが体調を崩していたので、シチューを作り軽食を買って届けたことがありました。
カクテル
イギリスでの生活の楽しみは「紅茶」と「カクテル」でした。日本ではなかなか飲むことのできないハロッズやフォートナムメイソンのようなブランド紅茶が簡単に手に入りましたし、普段飲んでいたPG TIPSもおいしかったです。また、カクテル作りに必要なリキュールも近所のスーパーで手に入り毎晩1杯のカクテルを作ることが楽しみの1つでした。私の指導教官の教授もカクテルが好きな方で「昨晩は何のカクテルを作ったの?」と声をかけてくれることもあり、共通の話題でした。
隣の部屋に住んでいた中国の女子学生が学校生活や寮生活に馴染めていないと少し心配していました。私にはいろいろ話をしてくれるのですが、他のルームメートと関わろうとしていなかったので「皆で飲もうよ」と共用のスペースに連れ出して一緒にお酒を飲むこともありました。
相互理解
フィリピン留学のお話ですが、平日は1日15時間というカリキュラムでした。(英語の勉強をしにきているわけですのでそれが大変やしんどいと思ったことはなかったです。)土日は休みですが、フィリピン留学後にIELTSの受験も控えていましたしTOEICもできるだけ高い点数を取りたいと思っていたので日本から教材を持ち込んで土日も12時間程勉強していました。
私のやっていることはおそらく間違えています。土日はクラスメートと出かけたり、カフェへ行ったり、一緒に動画や映画を見たりそのように時間を使うべきです。それが本来の「留学」です。
申し訳ないという気持ちもあったので、一人で買い物に出かけた帰りにミスドによってドーナツを買い、「帰国後に試験があるから勉強しなければならない。一緒に時間を過ごせなくてごめん。でも皆は楽しんで映画を見てね。また明日から授業大変だけど頑張ろう」と言って差し入れをしたこともありました。
「勉強をしている=正しい」ではありません。留学中に四六時中勉強をしているのは非常識です。TPOをわきまえ、自分がTPOを外れた行動をしているときは自分から謝意の姿勢を見せることも重要です。相手も「Kyoのように勉強を頑張ることができなくて申し訳ない」と思ってくれていたのが伝わっていたので、それぞれの置かれている状況を理解し・・・と説明しなくても当然のことですね。
過去の恩
フィリピンの語学学校の3大ルールが「門限10時」「異性連れ込み禁止」「部屋へのアルコール持ち込み禁止」でした。皆ルール破ってましたね。学校も手に負えないような状況で主任のような先生が私に愚痴を言いにくることもありました。
私は3か月の留学期間で1度しかルールを破ったことはありません。破った1度というのも最終日の帰国パーティーでそれは学校も黙認しています。帰国パーティーの当日に台湾人の男子学生が「行けない」と話していたので心配になって部屋を訪れると「お金がない」と話していたので、その時財布に入っていた数万程を渡して「必ず来い。」と伝えました。断られたのですが、「また会えたときに返してくれたらいいから。」と伝えました。一緒に時間を過ごしてくれたお礼でもあり、私も過去に他の人から受けた恩がたくさんあるのでその気持ちもありました。
GRITの生徒心得の1つに「自分のための努力。誰かのための努力」というものがあります。自分のための努力は非常に大事ですが、個人的には自分のためだけの努力には限界があると感じています。時には両親のために、時には友達のために、時には恋人のために、そしてこれまでに恩を受けた多くの人のために。自分一人で大業は成し得ないので人の力を借り、誠実にひたむきに学び、トップに上がっても継続し謙虚さを忘れず、学んだことをいつか社会で還元してもらえればと思います。