IAE 英語塾GRIT

英検準1級・1級合格、難関大合格、語学留学、海外大学院進学を目指す和歌山市の英語塾・英会話教室

入試で出題されやすいトピック

 

オーバーツアリズム

 

先々週の私個人の学習内容の1つが『overtourism(オーバーツアリズム)』に関するもので、ナショナルジオグラフィックの記事を模写したり、動画をいくつか視聴して学習を行いました。

Is overtourism a problem? (nationalgeographic.com)

 

 

偶然ですが、先週解いた学習院大学の過去問の長文の1つが「オーバーツアリズム」に関する内容でナショナルジオグラフィックの英文で読んだ記事がそのまま出題されているかのような内容でした。今日はいくつかの入試過去問を目を通していると奈良教育大学でも「オーバーツアリズム」に関する長文が出題されていました。

 

また、Japan Times Alpha J(ジャパンタイムズが出版する中高生向けの英字新聞です)の先月号の記事の1つも富士山のオーバーツアリズムに関する内容で、先週、先々週と2週間で3度オーバーツアリズムの内容に触れました。

 

そして、本日は英検でした。何となく予感はしていたのですが、英検2級を終えて塾に来た生徒に「英作文のトピックは何でしたか?」と尋ねると、「観光客の増加(オーバーツアリズム)に関する内容でした。」と話していました。

 

多くの方は「偶然」と感じるかもしれませんが、何度か英検や入試のトピックを当てたことがあり今回オーバーツアリズムのトピックが出題されたのは「必然」です。また、毎日のように英語と入試過去問と戦っているので大学入試や英検で出題されるトピックはある程度想定することができるようにも感じています。

 

誰が入試問題を作っているか

 

まずは、「誰が入試問題を作っているか」、考えてみてください。大学入試の問題に関しては概ね大学教授や大学で指導に携わっている誰かが作成していると思いますので、「大学の授業で使われている教材のトピックが出題されやすい」ということは想像することができると思います。

 

GRITの高校生の生徒が使っているリーディング教材は"Prism(Unlock)"と"Reading and Vocabulary Focus"という教材で基本的には大学で使われている教材です。

 

PrismとUnlockは基本的には同じ内容で、レイアウトがPrismが中高生向け、Unlockが大学生向けになっています。IELTS指導の第一人者の島津先生もPrismを絶賛していて、「高校生でこの教材に出会っていれば。」と評されています。

【2022年度】おすすめのリーディング教材|嶋津幸樹 Koki Shimazu (note.com)

 

これは私の推測ですが、日本の入試のいくらかはこのPrism(Unlock)のトピックを元に作問されているのではないかと思っています。例えば、Unlock3の「灰色リスと赤色リス」の話は過去に英検準1級で出題され、生徒の話では共通テスト模試のリスニングでも出題されたようです。

 

今日は愛知県立大学の入試問題を解き3題の長文を読みましたが、1つは「無形文化遺産」に関する内容でこれもUnlock3のトピックの1つです。そしてもう1つの長文は「女子学生とSTEM教育」という内容でしたがこれもUnlock4のトピックの1つです。

 

他にも何度か同じトピックが出題されていたことがありますがさすがにこれだけトピックが被っていると、Unlockのトピックが大学入試に影響を与えている可能性は大いにありえます。(Unlockは世界最高の学術機関の1つ、ケンブリッジ大学出版の教材ですので日本だけでなく世界中の入試問題の作問に影響がないと考える方が難しいかもしれません。)

 

近年よく売れた本

 

また、近年よく売れた本に関する内容も入試で出題されやすいトピックです。例えば少し前に『サピエンス全史』という本が売れましたが、実際に熊本大学でこのトピックに関する内容(なぜネアンデルタール人は滅びてホモサピエンスが生き残ったか)の長文が出題されていました。認知革命ですね。昨日、GRITの英会話の授業でも触れました。

 

また、数年前に『人新生の資本論』という本も売れましたがその内容に関するトピックの過去問も目にしました。

資本主義は限界?コロナ禍で見つめ直す社会|NHK

 

その英文は資本主義に焦点を当てた内容でしたが、「人新生」もホットなトピックで「更新世」や「完新世」のような地質学的な区分を表す専門用語で2000年以降に作られた新語です。人間活動が気候に影響を与え始めた頃(産業革命以降)を「人新生の始まり」と定義することが多いですが、「人新生」に関する内容もそのうち間違いなくどこかの大学か英検で出題されるので初めてこの言葉を聞いたという生徒はぜひ確認してみてください。

 

※調べてみると、2023年度の東大の入試問題でしっかり出題されていました。今後も様々な大学で出題されそうです。

2023年東大地理(第1問A)入試問題の解答(答案例)・解説 | 日本で唯一の東大文系「完全」特化 オンライン 東大合格 敬天塾 (exam-strategy.jp)

 

私の好きな「ジャガイモ」も出題されています。ジャガイモが好きとういうよりは『世界史を大きく動かした植物』という本を読み、ジャガイモに関心を持ちジャガイモに関する本を2冊購入し読みました。

 

これらの本を読んでいた受験生であれば、この東大の地理の問題は簡単に解くことができたかもしれません。というのも、「アンデスから世界への壮大なドラマ」と入試問題の解答が書籍の帯にそのまま書いています。

 

ジャガイモの歴史は本当に面白いです。

 

ジャガイモには雌雄がないのでキリスト教の価値観に反するため禁断の植物とされていました。したがってジャガイモが宗教裁判にかけられ、火あぶりの刑に処されたことさえあります。

ジャガイモは裁判で、火あぶりの刑に処されたことがある|食の雑学ノート | EAT UNIVERSITY | イートユニバーシティ (eat-university.com)

 

大航海時代、船乗りの壊血病を抑止するために大きな役割を果たし、大航海時代以降、次第にヨーロッパでも食されるようになりました。

大航海時代の船乗りを震え上がらせた壊血病 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)

 

そして1840年代にはアイルランドでジャガイモ飢饉が発生します。単一作物に依存していたアイルランドでは、何百万もの人々が飢餓で亡くなり他国への移住を余儀なくされました。アイルランドの東隣の国は…もちろん「イギリス」と知っている方は多いと思いますが西隣の国は…実は海を挟んでアメリカです。ジャガイモ飢饉の際にアイルランドから多くがアメリカへ移住し、それが部分的には1850年代のアメリカのゴールドラッシュにもつながっています。アイルランドからの移民の中にはケネディ大統領の曽祖父も含まれています。

アイルランド系アメリカ人 - Wikipedia

 

ちなみに日本では明治時代以降、ジャガイモが食されるようになりました。その理由にはいろいろな説があるようですが、ジャガイモ単体で食べても味がないため、明治時代以降肉食の文化が始まり肉と一緒に食された、また高価で民間人が手にいれられなかった香辛料が大量生産されるようになり価格が下がるにつれ民間人が香辛料を手に入れられるようになりジャガイモの食文化が始まったとも言われています。

 

英語の話も少しだけしますが、「新語を作る」は英語で"coin"という動詞を使って"coin a word"といいます。英検準1級や1級の語彙問題でよく出題されますので、こちらも押さえておいてください。

 

また、随分前になりますが、マイケル・サンデル博士の『ハーバード白熱教室』という番組が流行ったことがありました。

 

ハーバード大学での実際の講義の映像でYoutubeですが私も視聴したことがあり、この講義がベースとなった『これからの「正義」の話をしよう』という本を読んだことがあります。

 

トロッコ問題」と聞いてピンと来る方もいるかもしれませんが、「トロッコ問題」「功利主義」に関する内容も私が解いた入試過去問では熊本大学、早稲田大学、もう1つどこかの大学で出題されていました。

 

売れた本といっても「小説」は大学入試の英語の長文では出題されにくく、よく売れた本で自然科学・社会科学・教育に関連する内容、この辺りの本に関する長文が多いです。今後似たトピックが出題される可能性がある本としては『スマホ脳』『思考の整理学』だと考えています。

 

 

『思考』は入試問題でも最頻出のトピックです。『スマホ』や『SNS』はこれだけ社会問題になっていますのでスマホの使用に関する社会問題や、スマホに関しては「コミュニケーション技術の発展(絵文字等)」も入試で頻出のトピックです。

 

また、個人的には『選択の科学』という本を気に入っていて何度か読んだのですが、「マテリアリズム(物や情報が溢れている社会が本当に人を幸せにするのか)」にも部分的に触れていて、資本主義のネガティヴな側面に焦点を当てた内容で入試に出題される可能性もあるのではないかと思っています。

 

全体的には、「人間活動が社会や環境、生態系に与える影響」、そして「スマホやインターネットの使用による人間の認知能力の低下、社会能力の低下」は当面大学入試ではよく出題されるトピックになるのではないかと考えています。

 

やるのは生徒

 

いろいろと話をしましたが、本を読んだり意識を持って取り組まなければならないのは私ではなく生徒です。私が新しい本を読んだり知識を得て生徒の点数が上がるのであればいくらでもやりますが、生徒自身が取り組まなければ何も変わりません。見た所、GRITの生徒で社会問題や自然科学・社会科学に関する本を読んでいる生徒はほとんどいないように感じます。

 

GRITにはナショナルジオグラフィックのバックナンバーも40冊程置いていますし、Japan Times Alpha Jのバックナンバーも全て揃えています。私は高校生用の英字新聞を読んでも辞書なしでほぼ読めますので、自分の学習用のためというよりはむしろ生徒のために購読しています。自習スペースも少しアレンジして、英語以外の学習にも取り組みやすいようにしようと思っています。

 

単語や文法だけを勉強して上げられる英語力に限界がありますので、特に英検2級に合格し今後準1級を目指す生徒、難関大を目指す高1生や高2生の生徒は「英語や他教科の学習」「スマホ、ゲーム、テレビ、ショッピング」それぞれから一度離れて、本を読んだり普段自分の意思では視聴しないような映画を視聴してみてください。そして継続してください。

 

例えば「タイタニック」という映画を置いていますが、豪華客船沈没をテーマにした恋愛映画として有名ですが、タイタニックの沈没は「20世紀の科学への盲信の時代の始まり」と捉える科学者もいます。

 

タイタニック号はなぜ沈没したのか? 重ねたミス、1500人犠牲に | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)

 

タイタニック(1910年代)や原子爆弾(1940年代)、DDTによる環境破壊(1950-60年代)は、科学がすべての人間の問題を解決するという科学の力に盲信したという点で共通しています。(タイタニックは「沈まない船」と言われていたようですが、普通に考えて沈まない船などありえないです。)

「沈まない船」と考えられていたタイタニック号 - CNN.co.jp

 

タイタニックから2度の世界大戦、ホロコースト、大恐慌、20世紀前半の少し暗い歴史は一度通して学んでみても良いかもしれません。

 

『ダ・ヴィンチ・コード』という映画も置いていますが『ダ・ヴィンチ・コード』と続編の『天使と悪魔』『インフェルノ』は「宗教と科学の対立」がテーマの1つとなっています。

 

『ダ・ヴィンチ・コード』原作者、宗教と科学技術の対立を描くワケ!|シネマトゥデイ (cinematoday.jp)

 

映画も良かったのですが、本も面白かったので本も読みました。

 

宗教」も英検1級の面接試験や英作文でよく出題されるトピックの1つで、この20年で過去に5,6回面接試験で出題されています。「宗教は科学の発展を阻害しているか」この辺りのトピックは今後も出題される可能性はありますが、普通に英語を学んでいてもこういったトピックに答えることは難しいと思いますので普段から意識を変えて学習に取り組む必要があります。

 

そうしていると、ガリレオ、ダーウィン、ニュートンなど宗教色が強かった時代の科学者の生き方についてもっと知りたいと思うようになるでしょうし、宗教裁判にかけられた際のガリレオの"And yet, it moves.(それでも地球は回っている。)”という言葉に出会ったり、アインシュタインの「宗教無き科学は欠陥であり、科学無き宗教は盲目である」という価値観にも触れることができると思います。

 

特に難関大を目指す生徒は「英文を和訳できる」「英語を聴きとれる」それはできて当然で、プラスα(その知識を使って考える力等)が求められます。また、今後留学をしようと思っている生徒はディスカッションをする機会も多いと思いますがディスカッションの源泉は知識です。文法や発音はそこまでディスカッションでは重視されず、内容に重きが置かれます。英語の学習だけでなく、他教科の学習や教科を超えた学習にも取り組み、学習を深く広く、つながりのあるものにしてください。

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