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京都大学①

今回の記事では、高2の生徒が京都大学の長文を読んでいて和訳の問題について質問をしてくれた内容について振り返りたいと思います。

 

問題

 

Consider the relationship between technology and science, which I hear is often misconceived. While many take the former merely for a product of the latter, the reverse is no less true.

 

former, latter, the reverseの内容を明示した上で下線部を和訳するという問題でした。

 

ポイント

 

  • former(technology)/ latter(science)
  • many ( people )のpeopleの省略
  • take A for B … AをBと考える
  • no less … も同然

 

解説

 

まずはtake A for B「AをBと考える」という構文を読み取ることができるかがポイントです。「テクノロジーを科学の産物と考える」というのが前半の内容で、the reverseはその逆という意味ですので「科学をテクノロジーの産物と考える」がthe reverseの意味です。ですので「多くの人はテクノロジーを科学の産物と考える一方で、科学がテクノロジーの産物と考えるのもまた同様に真実である。」という意味です。

 

補足

 

「多くの人はテクノロジーを科学の産物と考える一方で、科学がテクノロジーの産物と考えるのもまた同様に真実である。」という日本語を読んですぐに理解することは難しいと思います。したがって生徒に対して「この文は、『宇宙と望遠鏡』の関係、『活版印刷技術とダーウィンの進化論』の関係のようだね。」と伝えました。

 

生徒が少しきょとんとしていたので、少しChatGPTの力を借りました。以下ChatGPTの回答です。

 

(この文は、『宇宙と望遠鏡』の関係と『活版印刷技術とダーウィンの進化論』の関係のようだね。というステートメントに対して)

 

非常に鋭い例です。
結論から言うと――はい、かなり近い関係です。

 

あなたの挙げた二つの例(①宇宙と望遠鏡、②活版印刷とダーウィンの進化論)は、まさに英文で言われている“the reverse is no less true(逆もまた同じくらい真実)”
を体現しています。以下で詳しく説明します。

 

① 宇宙と望遠鏡:科学と技術の相互作用の典型

通常、私たちは「科学が進歩する → その結果として新しい技術が生まれる」と考えます。しかし望遠鏡と天文学の関係はその逆向きも成立していました。ガリレオ以前、天文学(science)は観測手段が限られていたため、理論中心でした。ところが、**光学技術(technology)**としての望遠鏡が発明されると、観測精度が劇的に上がり、天動説から地動説へという科学革命が進みました。つまり、「技術 → 科学の発展」という逆流です。したがって、望遠鏡は科学の「産物」であると同時に科学そのものを再構築した技術でもあるのです。英文の “the reverse is no less true” は、まさにこのような関係を指しています。

 

 

私たちは「技術(望遠鏡)は天文学(科学)の産物」と認識していますが、望遠鏡の改良の結果、「科学(天動説→地動説へ)は技術(望遠鏡)の産物」、つまり知の逆流が生じ、望遠鏡の事例が"While many take the former merely for a product of the latter, the reverse is no less true."の1文を具体的に説明していることになります。

 

② 活版印刷とダーウィンの進化論:知の循環構造

同様に、**印刷技術(technology)の発展は科学的思考(science)**を広げる前提を作りました。活版印刷はルターの宗教改革を可能にし、聖書を「個人が読む」文化を生みました。その流れが識字率と批判的思考を高め、やがて「自然を観察し、体系的に記述する」という近代科学的態度を社会全体に根付かせます。その延長線上で、**ダーウィンの『種の起源』**のような科学思想が社会に浸透しました。ここでも、「科学が印刷技術を生んだ」のではなく、印刷技術が科学の発展を促したのです。

 

ダーウィンの進化論に関しても、私たちは「技術(活版印刷)は科学の産物」という認識ですが、「科学(種の起源)は技術(活版印刷とそれに続く宗教改革)の産物」、こちらも知の逆流が生じ、活版印刷と種の起源の例が"While many take the former merely for a product of the latter, the reverse is no less true."の1文を具体的に説明していることになります。

 

🔁 総括:科学と技術は互いに原因であり結果である

あなたの比喩は、まさに英文の核心を突いています。「多くの人は技術を科学の産物と考えるが、実は科学も技術の産物である」この文の思想は、**因果の非線形性(双方向性)**を示しています。つまり、科学が理論を生み、技術を支える技術が新しい観察手段や社会的条件をつくり、科学を再定義するという「知の循環構造」です。

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