IAE 英語塾GRIT

英検準1級・1級合格、難関大合格、語学留学、海外大学院進学を目指す和歌山市の英語塾・英会話教室

完璧に学ぶ

コロナがひと段落し留学をする生徒が増えています。この春すでに留学を終えた生徒、今留学中の生徒、来春留学予定の生徒、状況は様々ですが一貫して生徒には「留学をすること自体決してすごいことではない。留学前にどう準備したか、留学中どう取り組んだか。留学後その経験をどう生かすか。そのすべてが重要で、見ている」と話しています。

 

また、個人的な思いですが次回の留学は費用の計画も含め、自身の力で切り拓いてもらいたいと思っています。例えば他教科の学習も含め成績優秀者であれば無償で奨学金を受け取ることができる可能性がありますし、日本でアルバイトをしてお金を貯めるということもできると思いますし、現地でアルバイトをするということもできると思います。

 

私も期間は短いですがロンドンで7か月(ワーキングホリデー)、フィリピンで3か月(語学留学)、スコットランドで1年と少し(大学院留学)、留学ではありませんがスコットランドの大学院から無償の奨学金をいただきそれを使い3か月でヨーロッパを一周したことがありました。

 

その中で特に印象に残っている、というよりも人生を大きく変えることになったのがフィリピン留学でしたのでそのお話をしたいと思います。

 

人間関係①

 

フィリピン留学では同期入学の生徒との関係が留学の成否に大きく関わるというのは事前の情報で得ていたものでした。同期入学は韓国人が約20名、中国人が3名、日本人は1名と立場的には非常に難しい国籍比率でした。海外志向の強い集団ですので全員が反日感情を持っているわけではありませんが、その感情を持つ人も少数はいます。

 

その中で韓国人の女の子の一人が私が輪からはみ出ないようによく声をかけてくれていました。入校してから2週間後くらいだったと思いますが、彼女が体調を崩し学校を休んでいたことがありました。他の生徒から状況を聞いて、ブランケットと風邪薬、果物を買って持って行きました。

 

その後彼女とは学業面の好敵手となり、良き友になりました。最終日にキーホルダーをくれたのですが、表面には"Love is kind."という言葉、裏面には"Institute of Academic English"の名前が刻まれています。(GRITを始める6-7年前ですが、その時から教室の名前や構想は出来ていて「自分はフィリピン留学後、イギリスの大学院に進学し、その後英語教室を作る」という話をしていました。)

 

日常の一コマですが、留学の成否を決める決定的な出来事だったと思っています。

 

人間関係②

 

私は目標が明確でしたので日本人留学生と話すときも英語で話し、マネージャーの方と業務連絡をするとき以外は日本語を話しませんでした。1日10時間程授業で6時間程は自習をしていたので1日16時間程は勉強していました。またTOEICの教材を持ち込み、日曜日は最低でも10時間程、TOEICやIELTSの学習を行っていました。

 

私にとっての留学はこれが普通ですが全員が高いモチベーションを持って留学しているわけではありません。中には遊びの延長で、親が無理やりという生徒もいました。わかりやすのはそういった生徒の多くはルールを破っています。私の通っていた学校は「部屋へのアルコール飲料の持ち込み禁止、異性の連れ込み禁止、22時以降の外出禁止(塾の自習室はOK)」という3つのルールがありましたが、まあ…破っている生徒が多かったです。後でお話しますが私がルールを破ったのは1回だけです。

 

国籍が異なり言語の障壁があり自分とは対極の考えを持っていたり行動をする生徒を受け入れることは非常に難しいですが、仮に遊びの延長でも親に無理やり留学させられている生徒もその空間にいるコミュニティメンバーです。そして留学=勉強という自分が持っている価値観が100%正しいというわけでもないとは理解していました。自分が一生懸命頑張っていることはそれが正しいと思いがちですが、実際そうでないかもしれないということは私自身もそうですし心の片隅に置いておいた方が良いかもしれません。

 

日曜日は学校が休みで生徒同士で映画を見ていたり、買い物へ出かける生徒が多かったです。日曜日は最低10時間は勉強と決めてはいましたがさすがに生活用品の買い出し程度は出かけていました。生活用品を買った帰りにミスドに立ち寄って軽食を買い学校へ戻った後、「私は帰国後に受けるIELTSで一定の点数を取らなければならない。そのために今は勉強をしなければならない。休日に一緒に時間を過ごすことができなくて申し訳ないけれど今日は楽しんで映画を見てね」と言って韓国人の同期入学の生徒にドーナツやピザを配ったりするようなこともありました。

 

中高生も似た状況に置かれることもあると思いますが、誠心誠意を込め真実を語れば必ず相手に伝わりますし、相手も応援してくれます。

 

人間関係③

 

3か月の留学で2度校内模試が行われました。150名程生徒がいたのですが、私は2回とも校内1位で表彰されました。

 

 

1回目は日も浅かったのでまぐれだろうと思っていたのですが、2度目は周りが打倒Kyoを掲げ勉強している生徒が多かったので「次も俺が勝つ」という強い気持ちを持って学習に取り組んでいました。

 

1名、ノルウェーの大学院を目指していた女子生徒がいて、夜の12時や1時頃まで自習室に残って勉強していました。「女の子なのに夜遅くまで残って頑張ってんだな」と思いながら意識する存在ではあったのですが話したことはありませんでした。

 

マネージャーの方の話ですが「打倒Kyo」を掲げ勉強を頑張っていたようで模試で私が1位とわかったとき(その生徒は3位でした)、悔しくて泣いていたそうです。

 

人間関係④

 

先ほどもお話したように毎日16時間程は勉強していました。8時から授業が始まり、夜の1時-2時頃までは自習室で残って勉強していました。たまに、眠いなと思うことはありましたが英語の勉強をしたくて留学しているわけでそれが負担と感じたことはありませんでした。

 

夜1時頃、学校から寮への帰り道1名の韓国人の男の子と出会いました。不真面目で素行が悪いと評判の生徒で夜の1時に一人でふらっと出歩いているのは自然でもあり不自然でもあったので「どうしたの?何かあったの?」と聞くと「将来のことが不安で眠れなくて… 本当は留学して頑張らないといけないとわかっているのに全然頑張れない。どうやったらKyoのように頑張れるの?」と質問されました。

 

私は「昔全然頑張っていなかったから今頑張る羽目になっているんだよ(苦笑)自分が○○(生徒の名前)の歳の頃には将来のことなんて考えていなかったし、今考えているだけでも十分だと思う。今は自分がしたいことをしたらいいんじゃないかな」と返答すると涙を流しながら「ありがとう。」と答え自分の寮へ戻っていきました。

 

素行が悪く不真面目とレッテルが貼られていても、「人は見かけでは判断できないものだな。周りの生徒は彼のことを誤解しているのでは。」と考えさせられた体験でした。

 

人間関係⑤

 

留学中、恋愛の仲立ちをしたようなことも何度かありました。

1名50代の日本人の男性の生徒から「先生をデートに誘いたいんだけど英語ができないから助けてくれないか」と依頼されたことがありました。「なんで俺がそんなこと」とは思ったのですが、その先生に事の次第を伝えると先生から「Kyoが一緒に来てくれるなら」と返答されました。「なんで俺がそこまで」とは思ったのですが、「毎週日曜日は15時からTOEICの模試を解いているのでそれまでなら大丈夫です」と伝えデートの仲介をしたことがありました。

 

留学ではひと夏の恋のようなものもあります。私はその後の大学院留学しか考えていなかったので気にも留めてしませんでしたが。一度だけ学校一の美女と言われていた韓国人の女子生徒から「どうしてもKyoとランチがしたい」ということでランチに出かけたことがあり、私にしたかった質問というのが「どうしたらKyoのパーソナリティが出来上がったの?」でした。自分としては普通に勉強していただけなのですが、ユニークに映っていたのかもしれません。その女子生徒は男子生徒から相当人気があったので「君は男子生徒からとても人気があるみたいだよ」と伝え、食事も一度きりでそれ以上の関係になることはありませんでしたが、そのように質問されたのは印象に残っています。

 

人間関係⑥

 

留学中、私は日本語を一切使っていませんでしたが基本的には韓国人同士は韓国語で、中国人同士は中国語で、日本人同士は日本語で話している生徒がほとんどでした。

 

模試で2度1位をとっているという実績やルールを守っているということも評価してもらっているとわかっていたので、学校に「EOPルール(母国語禁止ルール)を作りませんか?」と提案したことがありました。

 

「学校主導ではできないがKyoが主導になってやってほしい。そのために必要なものは容易する」と言われたので、掲示板でEOPルールの実施を告知すると40名程の生徒が集まりました。

 

朝8時から夜7時、校内で母国語を話した生徒は50円の罰金というルールを作りその取り組みを実施しました。集まった罰金はまとめて学校を通して寄付しました。

 

人を巻き込んで自分も成長させるというスコットランド留学の目標となった価値観が生まれた出来事でした。

 

人間関係⑦

 

「1度だけ学校のルールを破った」とお話しましたが、それは最終日です。最終日は同期入学の生徒とお別れ会があり一晩パーティーとなっていたので、最終日だけルールを破りました(学校もそれを黙認しています。)

 

1名中国人の男の子ですがパーティーに行けないと話していて心配になって部屋を訪れると帰国のお金がないということでした。私の財布にはその時2万程しか入っていなかったのですが、「これでパーティーは十分だと思うし、少しは帰りの足しになると思う。必ずパーティーに来てほしい。」と伝えました。

 

もちろん断られたのですが、「またいつか会えると思っている。」と伝えると渋々受け取ってくれました。受け取らざるを得ない言葉ですので卑怯かもしれませんが。もちろん返ってくる可能性が低いことはわかっていましたが、そうしてでも来てほしいと思える仲間に出会えたことは本当に幸運でした。

 

人間関係のトラブルが一度もなく、自分もそして周りも成長することができた3か月でスコットランドの大学院留学ではこれ以上の経験をすることになりますがその礎になった3か月でした。

 

少し前1名の生徒に、「(特別なバックグラウンドを持つ英語学習者でない限り)高校生で英検準1級を目指すなら完璧でなければならない。そして、完璧とは指示されたそれ以上のことをすること」と話しました。その時は意味が分からなかったかもしれませんが、ここで指す完璧は宿題の範囲を間違える間違えないや教科書を忘れないや遅刻しない、そういった気をつけていても起こり得るヒューマンエラーのようなものではなく、学習に対する主体性、学習を超えた+αのようなものだと感じ取ってもらえるかもしれません。

Copyright © 2019 英語塾GRIT All rights reserved.